腕時計の電池交換ができる時計屋さん探し
自分の腕時計と、娘の腕時計がちょうど電池交換の時期のようだ。
仕事中に、自分の時計が止まっている事に気付いて焦った。
次の勤務までに電池交換しておかないと。
ショッピングモールに時計屋さんがあったな、あそこでやってもらおうかなと思ったのだが、何となく、他にも時計屋さんないのかな?と検索してみたところ、もっと近くに古い時計屋さんがあると知った。
口コミをみると、ショッピングモールの方は、時間がかかるし高いと、いまいちな雰囲気。一方、近場の古い時計屋さんの方は、「確かな腕を持った職人!」「人間国宝」など、店主について大絶賛の口コミが。
口コミだけを信じて行くのもどうかと思うが、今回は、この古い時計屋さんにとても興味がわいた。
行ってみよう、街の古い時計屋さん。
郵便局と、銀行と。色々他の用事を済ませていざ、時計店へ。今日のメインイベントかと思うほど、なんだかドキドキワクワクしている。(1番大事な用事は、本当は郵便局だった)
大通りから一本中へ入った昔からのお店や飲み屋などが並ぶ古い通りの一角に、見つけた。
お店の駐車場なんてない雰囲気だ。少し離れたところにコインパーキングを見つけたのでそこに停める事に。
セキュリティ大丈夫かな?と、心配になるような、シンプルなガラスドアを手動で開けると、噂の店主がいらっしゃった。
職人というかんじはあまりなく、優しそうな白髪のおじいさんだ。
私が手に持っていた2つの腕時計を見るとすぐに、「いらっしゃい、電池交換?」と声をかけてくれた。
「はい、お願いします」
「電池交換ね」
きっと、私の声はあまり聞こえてないのかな、というかんじがした。
そういえば、口コミにもご高齢なので、大きな声で話さないといけないと書かれていたな。
どれくらい時間かかる、とかそういった案内はなく、すぐに年季の入った作業台に向かって作業を始める店主。
作業用のメガネ?拡大鏡?を装着すると、急にthe 職人になった店主。
わしゃわしゃの白髪とメガネ姿で
背中を丸くして小さな時計と向き合う
その姿を見た私のワクワクはとまらない。
私は側にあった椅子に座って待たせてもらう事にした。店内を眺めていると、ストーブのにおい。もちろん、上にはやかん。
いい、この裏切らない雰囲気。
様々な昔ながらの時計が壁にかかっていたり、ショーケースにも腕時計が並んでいる。
古い雰囲気だけど、クレジットカードの案内なんかは現代的で、余計にノスタルジック。
カチャカチャと小さく聞こえる作業の音が、とても心地よい。
ずっと昔からここで、時計と過ごして来たんだなぁ。初めて訪れた私でも感じる心地よさは、その長い年月が染み付いた空間がもたらすものだろう。
もっと若い頃は、こんなお店見向きもしなかった。
でも、今は歴史あるものが尊い。
ものの15分で、
「はい、できたよ。」
あれ、早いな、2つあるのに。すごい。
でも、もう少しゆっくりこの雰囲気に浸っていたかったな。
「2つとも、調子いいよ。」と、私と娘の時計をピカピカに復活させて返してくれた。
「1つ1,000円ね」
「じゃあ、2つなので2000円ですね」
そう言って、私は財布から千円札を2枚取り出し、店主に渡した。
「はい、これでいいですよ、ありがとうございました」
と、とても優しい店主。
口コミを信じて来てよかった。
たったの15分で復活した時計。
娘もきっと喜ぶ。これで、日曜日にお友達と映画を見に行く時に使えるね。
私の次の出勤にも間に合った。
たった15分だったけど、何でもない私の日常はとても潤った。
次もここにお願いしよう。
行きつけの時計店を見つけた日。
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